昔の同僚が突然「日本のマスコミは真実を伝えない」と言い出した時は、何が起こったかと思った。それは、昨年夏の事件で宗教団体の名前が報じられなかった事のようなものを指すのではなく、もっと闇深いというか……。
その人は、調べものはなんでもYouTubeでする人だった。文章を読んで考える必要がほぼなく、知りたいことややりたいことを、視覚的に見せてくれるのがいいと言っていた。本は読まない人だった。
ネットの広告や、SNSでおすすめが表示される仕組みを、多くの人は知っている。そして、時に不快に思う。たった1回のクリックで、延々と似たような広告が表示されるのは、はっきり言って苦痛だ。だけど、そうではない人もいる。自分はひとりじゃないとか、この思いが正しいんだとか、すすめられるがままに動画を観続けて、どんどん偏ってしまう。同時に頑なになってしまう。
あの人は、YouTubeから仕入れた情報が真実だと思っていた。自分で見つけた学びだと思っていた。元気だろうか。今、陰謀論にハマってはいないだろうか。ふと思い出した。