レナード・バーンスタインというと、『ウエストサイド・ストーリー』の……くらいの前知識しかなくて、なぜこの本を予約したのか、きっかけは忘れてしまったけど、とても良い本だった。
自分の出した手紙、しかもファンレターあるいはラブレターなんて、とてもじゃないけど恥ずかしくて読み返せたものじゃない。一晩経っただけで普通はもうダメだ。
だけど、この本の土台になっているふたりの手紙は、バーンスタインの為人を伝えるだけでなく、書いた本人の成長が感じられて、意図せず自分史にもなっている。
バーンスタインというひとは本当に大スターでマエストロで、音楽とそれに関わる人たちが大好きで、信念信条を持ったすごいひとだったんだな、だけで終わらない、ふたりの手紙と存在は彼の人生を彩ったんだなという、なんだかすごく、すごく、心温まるし、本当にすごい。
色恋に関することも書かれているのに、暴露本的な醜悪さも変な煽りもなく、あくまで研究者がさらりと伝えている、そのさらりとしているところが、とても胸を打つ本だった。