H E L M I

わたしの日々のこと

『生皮』。

『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』は、このインタビューを読んだ時からずっと、「いつか読む本」としてリストアップされていた。

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気になっていた本をいよいよ「読まねば」となったのは、読書系のPodcastを聴いたのがきっかけだ。このPodcast、今はアーカイブ状態なのだけど、とてもお世話になったし今もなっている。この番組で知って読んだ本もある。

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セクシャルハラスメント」ではなく性暴力。はっきり言うとレイプとその事件が、加害者とその家族、被害者とその家族、そして二次加害者たちなど、様々な目線から描かれている。リアルで気持ち悪くて、何度も「う......っ」と込み上げるものがあった。二次加害者の気軽さや歪んだ正義感、同性にも植え付けられている嫌なジェンダーバイアス、嫉妬心……読んでいてもの凄くしんどかった。

部外者たちは、「そんな前のことを今さら」とか、「死ぬ気で拒めば逃げられたはず」とか、どうして簡単にそんなことを言えるんだろう。死ぬ気で拒んで殺されたひとだっているじゃないか。死ぬ気で拒まなきゃいけないような状況になったのは、みんな被害者のせいなのか。自業自得だというのか。

わたしは7年どころか、何十年も言えなかった。未遂だったけど傷ついたし、怖かったし、気持ち悪かったし、そのことを誰かに話すのはとても勇気がいった。10代の頃の嫌な思い出は、今だって嫌なままだ。

月島という加害者への嫌悪感は、彼をあんなひとにしてしまった土壌について描かれたパートを読んでも消えない。「かわいそうなひと」かもしれないけれど、そんな風には言いたくない。彼もその時代と環境の生んだ被害者だなんて、絶対言いたくない。

本当に嫌なひとがたくさん出てきた。共感できる登場人物が、圧倒的に少ない。ことの深刻さや被害の大きささを淡々とリアルに描く、すごい本だと思った。