H E L M I

わたしの日々のこと

ちちとむすめ。

何年か前、呑んでいるときに同僚が言った。俺は娘にどう接していけばいいのか、と。今はまだ小さいから、男も女もないだろう。だけど、すぐに大きくなって、娘は女の子になってしまう。そうしたら俺は、男親として娘にどう接していけばいいのか、さっぱり分からないんだ、と。

息子だったら分かるの? と訊くと、まあ男同士だし、自分の経験もあるし、と言う。分かるんだ。分かるって言えちゃうんだ。自分の子供ったって別の人間だよ? 自惚れてない? と思ったけど黙った。そして考えた。娘の気持ちが知りたいんだよな、彼は。

よく分からないけどさ、と前置きして、わたしは答えた。なんかさ、叱ったり注意したり止めたりするときにさ、理由が「女の子だから」以外に思い付かないんだったら、ちょっと考えた方がいいかなあと思うよ。

わたしは子供の頃、中学生くらいになってからも、「女子だから」って止められたことがいくつかある。なんでなんだろうって思ったけど、どうにもならなかった経験がある。大人になったらなったで、それでもそれなりに色々あってしんどいことも。

もう長いことそんな話をできる機会もなくて、赤ん坊だった彼の娘はとっくに「女の子」になっていることだろう。娘の方が「お父さんとどう接したらいいのか分からない」、なんてことになってたりするのかな。