姉はインターネット全般のことや、サブスクなどにはあまり詳しくない。なので、わたしがAmazon Primeで夏休みを丸々費やして『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメを一気観したり、Spotifyで音楽だけでなく色々なPodcastに出会ったりしているのを、興味深げに、でも「なんだかよく分からないな」という感じで見ていた。
あるとき、自分が若い頃に好んで観ていた古いドラマをインターネットで無料で観られる、ということを知った姉は、あるサブスクに登録した。昔の「月九」とか「トレンディドラマ」と呼ばれていたドラマを夢中で観ているうちに、どうしても観たいドラマが無料では観られないことに気づき、有料会員登録をした。
最初はパソコンで観ていたのだけど、そのうちわざわざパソコンを立ち上げるのが面倒になり、スマホにアプリをいれて、スマホでも観るようになった。歳をとると、色々なことが面倒くさくなってくるのだ。
一通り観たかったものを観終え、熱も収まった頃、姉は会員登録自体を解消した。さすがちゃんとしてるな、と関心して、さらにしばらく経ったころに、姉から「解約したはずのサブスクから、まだ引き落としがある」と相談された。スマホからはアプリも消え、パソコンの方はログインもできない。だけど、スマホの使用料と一緒にサブスクの会員費が計上されているのだ。
さっぱり意味がわからなくて、結局サブスクの運営に問い合わせたところ、姉はひとつのサブスクにアカウントを2個持っていたことがわかった。ひとつはパソコンで、メールアドレスを使って登録をした。もうひとつはスマホにアプリをいれたとき、パソコンの方と同じID/PWでログインできるということに思い至らず、SNSアカウントで新たなIDを取得してしまっていたのだ。支払いも一方はクレジットカード、一方はキャリア決済で、別々の支払い方法になっていた。
SNSアカウントで登録できるサービスって色々あるけれど、もし、更に姉がタブレットを持っていたら、別のSNSアカウントで3つめのIDを作っていたかもしれなんだな、と思うと、ちょっと「うわあ」という気持ちになった。とりあえず解約はできて、以来姉はどのサブスクにも契約していない。
自分だったらあり得ないと思うことが、少し上の世代には起こってしまう。姉に関してはわたしが辞書みたいなところがあるから、わたしも色々と知っておかなきゃな、という気になった出来事だ。
