振り返ってみて、あの選択は失敗だったなと思うことは多々ある。時々思い出して、たらればを想像してみる。
契約社員として働いていた頃、ここにいても正社員にはなれないよと言われ、その人の紹介である企業に転職した。正社員前提だと言われて面接も受けたのに、入社してみたら契約社員だった。しかも、退職が決まった後、実は直の上司よりさらに上の役職の人が、わたしの正社員登用を望んでいたと聞いた。
数年後、転職先で社属した部署が閉鎖になり、契約満了で退職する羽目になった。あの選択が、わたしの人生の悪い意味でのターニングポイントかもしれない。
その後、ようやく正社員で就職できた会社が超ブラック企業で、ほぼ洗脳状態でまともな休暇も取れずに働いた。終電で帰宅が危うい日が増えて、会社の近くに引っ越したらそのわずか数日後に、給与がいくら払えるか分かりません、と経営者に言われた。
あの時、あの会社を辞めていなければ。もしかしたら今もあの職場で、正社員として働いていた？ もし働いていたら、今ごろマンションのひとつでも買ってた？
考えても仕方ないし、わたしはその後出来うる限りの選択をして生きてきた。この先がどうかなんて分からない。誰かと比べても、この状況は変わらない。比較して得られる、爪の先ほどの僅かな優越感で、豊かになんてなれないとわかっている。
今のこの場所で生き方で。生きていくしかないんだ。
